ちょっとした言葉の違和感

年度末、異動の時期だ

退職される人、異動で担当が変る人、勤務地が変る人、人それぞれに新しい生活が待っている

退職される人や異動される人に対して、「退職おめでとうございます」「ご栄転おめでとうございます」という言葉が飛び交う

退職はめでたいこと? 転勤は栄転?

退職

「退職おめでとうございます!」

みんな送り出す人に対しての挨拶代わりに声をかけているのだと思うが、退職に対しておめでとうという言葉を掛けるのに違和感を感じてしまうのは私だけだろうか?

もちろん退職してようやく仕事から解放される!と待ちこがれていた人に対しては「おめでとう!」という言葉はぴったりだと思う

当人がうれしいのであれば、私もおめでとう、と退職を祝うことに何ら違和感があるわけではない

でもみんな退職を喜ぶものなのかな?

おめでとうの背景には終身雇用制度の中で長年勤め上げてきたことに対する慰労の意味が込められているであろうことは理解できるし、その名残なのだろうということも分かるのだが、この違和感はどこからくるのだろう

異動

退職する人におめでとうと声を掛けるのと同じように、転勤する人に対して「ご栄転おめでとうございます!」、と言葉を掛けるのにも違和感を感じてしまう

もちろん、実際に昇進して転勤される人に対して「ご栄転」というのは何の違和感もない。ただ、ロケーションが変る転勤に対してご栄転と一律に声を掛けることに違和感を覚えるのである

これも本人がそれで喜ぶのであれば、何も文句をいう筋合いでもないのだが、別に待遇が変るわけでもないのに、と戸惑いを浮かべる人もいるのである

社交辞令の言葉として気にせず流せばいいのだが、小さな違和感が心を落ち着かせなくなることがあるから気になってしまうのだ

時代の移り変わり

時代は移り変わり、昭和生まれの私は平成、令和と3つ目の時代に突入している。一つの時代を丸々過ごすというのはなかなか経験することはないのではないかと思っていたが、こうなってみるとそうでもない。子どもの頃は3つの時代といえば明治、大正、昭和で、3つ目の時代を生きている人はとても長生きなおじいちゃん、おばあちゃんのイメージだった。そう思えば、自分も今3つ目の時代を生きていると考えればずい分年をとったなと感じる。

それぞれの時代を節目に変化が起こるわけではないが、それぞれの変化(進化)の特徴というものは後から振返れば語られるものがある。時代の変化は少しずつ浸透してきて、仕事も生活のスタイルも大きく変り、価値観まで変化してきている

今の時代を生きている我々に取ってみれば、突然切替わったという感覚を持つことはないが、それでも変化の速度が加速しているのは感じる。後で振り返れば急激な変化が起こったと評される時代なのかもしれない

雇用の変化

雇用もジョブホッピング(転職)が当たり前になり、だんだん終身雇用制度を維持することが難しくなってきているし、定年年齢は引き上げられて退職後の再雇用で給与をカットされて働き続けなければいけないような厳しい現実もある

求められる人材も「育てる」文化から「即戦力」に期待する文化に変ってきている。そうなると経験のない新人には厳しい時代になるし、教育の在り方も変化を求められるタイミングにきているのだろう

男女の雇用機会の平等や障害者雇用など環境整備も進んできているし、SDGsの広く意識されるようになってきた

働き方の変化

働き方もずい分と変った。特にCOVID-19の影響もあり2020年は「働き方改革」がキーワードになり、リモートワークを余儀なくされ、新しいコミュニケーションのツールが導入され、否応なしに働き方に変化がもたらされた

悪い面ばかりではなく、みんなの意識変革が一気に加速されたことによる恩恵もある。変化が激しい分、適応力が試される時でもある

残業に対する考え方も変り、会社だけに縛られる働き方からは解放されつつある

社員のメンタル面への配慮も考慮されるようになり、ハラスメントに対する意識も見直されてきた

相手を思って

話が横にそれてきたかもしれない

小さな違和感の正体は退職や異動のイメージが一昔前のままで、時代の変化に追いついていないように感じられるギャップにあるのかもしれないと思い、変化を再認識するのに昔に思いを馳せてしまった

別に難しく考えることはない。ただただ相手を思って言葉を選べばいい

相手が望んでいたことであれば素直に「おめでとう!」と、環境の変化に戸惑いや不安を抱いているのであれば励ましを

私からの贈る言葉は、感謝を込めて「Thank you & All the best!」

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