「反応しない練習」~ブッダの教え

Kindleで読んだ初めての電子書籍

草薙龍瞬著「反応しない練習」

ブッダの教えを元に人間が抱える悩みや苦しみを解決するための手がかりを教えてくれる奥深い内容だった

ニュースダイエットでいい情報とはどんな情報かということで、「判断」と「行動」に影響を与えるものだと紹介されていたが、反応しない練習はまさに今後の判断と行動に影響するいい情報だった

著書の中では余計な判断をするな、ということが説かれているのだが(^^;)、この「判断」の捉え方というのがまた面白い

ブッダの教えの本質

ブッダの教えを元にしているが、仏教という宗教の話ではなく、心の在りよう、考え方の話だ。人生で出会う悩みや苦しみと向き合うための、現代にも通じる思考法としてわかりやすく解説されている。これを読むとブッダの考えが超合理的だということがわかる

確かめようのないこと(判断)は追いかけるなと。確かめることができないのだから、それは妄想だ。妄想だからいくら追いかけても仕方がないということだ。ブッダにかかれば人が考えていることのほとんどは妄想になってしまうが、その思考法には説得力がある

判断の捉え方

反応しないということを説いているのだが、反応は心で起きる。人間の心というものは常に喜びを求め続けるようにできている、それを認識しておくことが大切だという。悩みや苦しみをもたらしているのはその喜びを求めてやまない心が原因で、求めてやまない心とはすなわち欲求だ。生存、睡眠、食欲、性欲、怠惰欲、歓楽欲、承認欲

人は求めるものを得たい、手にしたものがいつまでも続いてほしい、苦痛となっている物事をなくしたい、という欲求を持つが、思い通りにいくことばかりではない。こういった欲求に動かされて人は反応している。その反応によって満たされれば喜びを得、さらなる喜びを得ようとし、満たされなければ不満が生まれ、蓄積されていく。これを繰返しているのが人間の人生であり、この繰り返しを求めているのが執着だ

心の反応は無意識に連続的に起こっていて、その反応は判断という形で行われる。決めつけや思い込み、物事に対していい、悪いや好き、嫌いといった感情を持つことも判断だという。判断することは気持ちの良いことだと心は理解しているので、判断した結果を自分の意見として固執する。誰もが同じような思考回路を通り、自分の意見を持つが、人それぞれでもちろん意見は異なるので衝突が起きる。これが人間関係の悩みが発生するメカニズムだ

自分で考えれば、自分の考えだけが出てくるのは、当たり前の話です。しかし、だからといって、その考えが正しいということにはなりません。だって、考えている前提(立場も体験も脳も)が違うからです。

悩みの解消法

悩みは執着からきているというのが分析された原因だ。執着は心の反応、感情として無意識に判断することから始まっている。だからこの終わりのない心の反応を止めることが、悩みを解決する方法になる

無意識に行われていることだから意識することでその反応を抑えることができるというのは、肚落ちする考え方だ。そのための具体的な方法として3つの方法が挙げられている

  • 言葉で確認すること
  • 感覚を意識すること
  • 分類すること

要は自分の感情を意識して、その感情を言葉に出して客観視すること、そして体の感覚に意識を向けて、感情を発生する原因になっている決めつけや、思い込みといった無駄な判断をしないようにすることだ

そんなことができるのか、という考えもあるだろうし、そんなことで悩みが解消されるのかという考えもあると思うが、とにかく継続してやってみることだ

頭では分かった気になったブッダの教え。心の平穏を得るために意識していこう

これも人生をよくするための秘訣の実践だ

自分と向き合う2つの学び

この本の中で印象に残った2つの考え方がある。こんな考え方があるんだという新鮮な発見だ

記憶は自分の執着 相手は関係ない

人は記憶を通して人と向き合っている。相手に対して経験を通した記憶があるから、その記憶に基づいて人をラベリングしている。記憶は変わらないから経験した過去の時点で相手の評価を固定してしまっている。だから思い出す度にその時の感情が再現されてしまう。でも思い出している今、相手はそこにいない、つまりはその感情は自分が執着している記憶が作り出しているということだ。自分で作り出しているのだから自分でコントロールできる

過去を思い出して、「記憶」に反応して、新しい怒りを生んでいるーそれが、いつまでも怒りが消えない本当の理由です。その怒りに実は「相手は関係がない」のです。

心が変われば人も変わる まったく新しい人として向き合う

自分の心はいつもいろんなことを考えている。常に変わりつづけている。自分がそうだということは相手も同じだ。瞬間、瞬間で心は変わりつづけているからいつも違う自分であり、相手も以前と違う。こう考えると相手を以前と違う心を持った常に新しい人としてとらえることができる。過去にいやな経験をした相手であっても、そう考えているのは自分の執着で、まったく新しい人として向き合うこともできる

心が変わっているなら、「同じ人」だと、どうしていえるでしょうか。私たちには、過去の記憶もあるし、「あの人はこういう人」「たたしはこんな人間」という判断があります。だから、互いに「変わらないあの人」としてかかわっています。

しかしそれは思い込み、関係を続けるための暗黙のルールみたいなもので、本当は「今は別の心の状態の、別の人間」なのです。

ひとこと

『人生は、つねに「ここからスタート」です。』って

『今日が人生で一番若い日です。』に通じるなぁ

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