本が物語るもの

本を読むときに感じることがある

作者の手を離れた作品は、作者の意図とは係りなく独立した存在となって一人歩きを始める。読む人、目的、読み方、その時の状況、気分、感情によって同じ本を読んでも目に留まる言葉や中身の解釈は違ってくる。その時に悩んでいたり、困っていたりすることを解決するためのヒントに出会えたりする。だから読書は面白い

そんな本を読むことについて作家が語っている言葉はまた深い

万物流転、情報不変

書かれた言葉(情報)は変わらないが、それを読むひとは変わる

養老孟司著「バカの壁」

 

どんなに面白い代表作であったとしても、その一冊は著者のある一面でしかない。若いころのアルバムの一枚にしかすぎなかったり、立派な肩書の入った名刺を手にしているようなものだ。エッセーや手紙、日記などまで目を通して見て、はじめて本当の心が伝わってくる。古今の名作を幅広く読むことも大事だが、それは知人を増やすばかりで親友を得ることにはならない。

高橋克彦著「楽園にようこそ」

 

読書というものはもともとが偏見に満ちたものであり、偏見のない読書なんてものはたぶんどこにもないからです。逆な言い方をするなら、読者がその作品を読んで、そこにどのような仮説(偏見の柱)をありありと立ち上げていけるかということに、読書の喜びや醍醐味はあるのではないかと僕は考えるのです。

村上春樹著「若い読者のための短編小説案内」

 

いい本との出会いは素晴らしい人との出会いにも匹敵する

本ってやっぱり素晴らしい

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